1回目はポータブル電源のスペックに失望した話をしようと思います。
ざっくり言ってしまえば、大きな電池です。
あらかじめ充電しておき、電源(コンセント)の無いところで電気を使うために使用します。
モバイルバッテリーとの違い
似た言葉に「モバイルバッテリー」があります。
スマホを充電するとき等に使うあれです。
どちらも、充電しておいてコンセントの無いところで電気を使うというところは同じですが以下の部分が違います
1.USB以外の出力に対応
モバイルバッテリーの出力にはUSBしか付いていませんが、ポータブル電源はACがついています。いわゆるコンセントが付いているので普通の家電が使えます。テレビや扇風機や電子レンジとかです。AC電源に加え、DC12Vも付いています。
※モバイルバッテリーの中にもAC電源が付いているものも一部あります。
2.容量が大きい
モバイルバッテリの容量(=電気を貯められる量)はスマホを数回充電できる程度ですが、ポータブル電源は数十回充電ができます。
ただし、電気をたくさん貯められるということはそれだけ大きくなりますので、当然ポケットに入るようなサイズではありません。水で例えると、水筒はカバンに入りますが、給水タンクはカバンに入らないのと同じ理屈です。
スペック比較
ANKER製のそれぞれの機種を比較してみます。
区分 | ポータブル電源 | モバイルバッテリ |
機種 | ANKER PowerHouse | ANKER PowerCore 10000 PD Redux |
容量 | 120,600mAh 434Wh | 10,000mAh |
重量 | 4,200g | 180g |
AC出力 | 1口 | なし |
DC出力 (12V) | 1口 | なし |
DC出力 (USB-TypeA) | 4口 | 1口 |
DC出力 (USB-TypeC) | なし | 1口 |
販売価格 | 49,800円 | 4,299円 |
おおよそ、容量・価格は12倍、重量は23倍となっています。
ポータプル電源のクラス分け
ポータブル電源を分類するとおおよそ3つ程度に分類できるかと思います。明確な区分はないですし、私の勝手な分類です。
小型
容量:~300Wh
小型軽量のため、手軽に持ち運び可能なサイズとなっています。キャンプ等でモバイルバッテリーでは心もとない、AC電源を外で使ってみたい入門用に良いかと思います。AC出力はそんなに多くないので省電力な家電であれば問題なく使えそうです。ただしこのクラスのAC出力は正弦波(純正弦波)でない機種も多いので使用する家電が正弦波が必要なのか、矩形波(修正弦波)でも動くのかは確認しておく必要があります。
スマホやパソコンを充電することが多いのであれば、USB TypeC(PD対応)が付いている新しめの機種を選択するのがよいと思います。AC出力に USB TypeC対応のUSB充電器をさして使用することもできますが、AC→USBの際に変換によるロスが発生しますし、折角の小型タイプなのにかさばるのももったいないので最初から USB TypeC付きを選択しましょう。
機種 | suaoki S270 | suaoki S370 | Jackery 240 |
容量 | 150Wh | 322Wh | 240Wh |
出力 | 定格:100W ピーク:150W | 定格:300W ピーク:600W | 定格:200W ピーク:400W |
AC出力波形 | 修正正弦波 | 純正弦波 | 純正弦波 |
AC出力 | 2口 | 4口 | 1口 |
DC出力 | 4口 | 4口 | シガー:1口 |
USB出力 | A:4口 (QC3.0 1口) | A:4口 (QC3.0 2口) C:1口 (PD60W) | A:2口 |
重量 | 1.3kg | 3.3kg | 3.2kg |
価格 | 13,280円 | 38,880円 | 23,500円 |
中型
容量:500Wh前後
機種 | anker PowerHouse | suaoki PS5B | suaoki G500 | Jackery 400 | Jackery 700 |
容量 | 434Wh | 400Wh | 500Wh | 400Wh | 700Wh |
出力 | 定格:120W | 定格:300W ピーク:600W | 定格:300W ピーク:600W | 定格:200W ピーク:400W | 定格:500W ピーク:1,000W |
AC出力波形 | 正弦波 | 純正弦波 | 純正弦波 | 純正弦波 | 純正弦波 |
AC出力 | 1口 | 2口 | 2口 | 1口 | 2口 |
DC出力 | シガー:1口 | 2口 シガー:1口 | 2口 シガー:1口 | シガー:1口 | シガー:1口 |
USB出力 | A:4口 | A:4口 | A:2口 (QC3.0) C:1口 (QC3.0) | A:2口 | A:3口 |
重量 | 4.2kg | 5.6kg | 6.8kg | 3.6kg | 6.3kg |
価格 | 49,800円 | 41,980円 | 59,800円 | 44,787円 | 79,800円 |
大型
容量:1,000Wh~
機種 | suaoki G1000 | suaoki G1200 | MAXOAK | GP1500 | EFDELTA |
容量 | 1,182Wh | 1,200Wh | 1,500Wh | 1700Wh | 1,260Wh |
出力 | 定格:1,000W ピーク:2,000W | 定格:1,000W ピーク:2,000W | 定格:1,000W | 定格:1,500W | 定格:1600W ピーク:3100W |
AC出力波形 | 純正弦波 | 純正弦波 | 正弦波 | 純正弦波 | 純正弦波 |
AC出力 | 4口 | 2口 | 2口 | 2口 | 6口 |
DC出力 | 2口 シガー:1口 | 2口 シガー:1口 | シガー:1口 | 2口 シガー:1口 | シガー:1口 |
USB出力 | A:4口 (QC3.0 2口) C:1口 (PD 60W) | A:4口 C:1口 (PD 45W) | A:4口 C:1口 (PD45W) | A:4口 C:1口 | A:4口 (QC 2口) C:2口 (PD 60W) |
重量 | 23kg | 12.6kg | 20.66kg | 19.6kg | 14kg |
価格 | 179,880円 | 169,880円 | 188,900円 | 126,000円 | 159,500円 |
スペックの読み方
容量
電気を蓄えられる量です。単位には「Wh」(ワットアワー)や「mAh」(ミリアンペアアワー)を使用します。ちなみに電気料金の請求に使用される電気を使った量としては「Wh」の1000倍の「kWh」(キロワットアワー)が使用されます。
「Wh」の意味は1Wの電力を1時間使い続けた際の電力量となります。500Whとは、1,000Wのドライヤーを30分や、40Wの電気毛布を12時間半使ったときの電力量です。
内蔵しているリチウムイオン等の電池の量に依存しますのでポータブル電源の性能を表す最も基本的な数値となります。
出力
一度に取り出せる電力を表します。定格とピーク、2つ記載されているのが一般的です。単位は「W」(ワット)を使用します。
定格を越える電力を使用すると過電流保護により電源供給が停止しますが、瞬間的に越えた分についてはピーク電力までなら許容されます。
内蔵しているインバータ(直流→交流)回路の能力に依ります。基本的には大容量タイプには大電力に対応するインバータが組み込まれています。
AC出力波形
通常のAC電源(コンセント)はなだらかな曲線の正弦波です。ポータブル電源はインバータ回路により直流を交流に変換していますので理想的なのは正弦波(区別するために純正弦波と書くことが多い)ですが、価格・サイズを抑えるため等の理由により、疑似正弦波・修正正弦波と呼ばれるなだらかではない階段状の波形の機種もあります。
正弦波(純正弦波)の機種では定格電力内であれば使用できる家電に制限はないですが、正弦波ではない機種の場合、扇風機等ではモーターから異音がしたり、使えなかったりします。
使用予定の家電が正弦波が必要かどうか確認するようにしましょう。もしくは最初から正弦波の機種に絞って選定するようにしましょう。
AC出力
不足した場合は、電源タップ等で増やすことができるのであまり気にする必要はないと思います。
DC出力
シガーソケットはAC出力同様、後で増やすことができるので数を気にすることはないと思います。
ただし、上の表には記載していませんが出力できる電流の上限が異なりますのでDC12Vをよく使うのであれば電流上限は要チェックです。
USB出力
スマホ・タブレット・ノートパソコンをよく充電するのであれば重要な項目になります。ここ2年以内に発売された機種であれば充電ポートがUSB TypeCになっていると思いますのでPowerDelivery対応であれば急速充電が可能になります。
上でも書いているようにAC出力+USB充電器で対応可能ではありますが・・・。
重量
車内や、家の中からほとんど動かさないのであれば気にする必要はありませんが、同じ容量でも機種によりずいぶん重量は変わります。ポータブルと名の付く以上、重くて持ち出さないのであれば意味がありませんから十分確認するようにしましょう。
価格
記載した価格は2020/06/08時点のamazonの価格です。(GP1500のみ楽天市場)
もとの値段が高い分、タイムセール等で一万円以上安くなることがありますのでここに記載の通常価格から下がった時を見計らって購入するようにしたいですね。
その他
機種の特長を持ったものがあります。suaoki PS5Bのジャンプスターター機能をもったものや、最近増えているLED付きのもの等です。
求めたスペック(仕様)
今回、私がポータブル電源を選定しようとしたのは以下の理由からです。
・洗車のため、水・電気の無いところで高圧洗浄機を使いたい
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・バッテリー駆動タイプを検討するが稼働時間が短い。稼働時間を延ばそうと予備バッテリーの購入を検討するがそもそもバッテリー部分が高価。
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・高価なバッテリーを買っても用途が限定される(バッテリーを共用できる電動工具等にしか使えない)
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・汎用性を求めて、ポータブル電源+AC電源用高圧洗浄機の組み合わせを検討する
無謀?
高圧洗浄機が使えるポータブル電源のスペックを想定してみます。
想定している高圧洗浄機はケルヒャーのK3サイレント 定格1,300Wになります。
AC出力 | 定格 1,500W ピーク 4,000W | 定格消費電力とモーター特有の突入電流を考慮すると最低でもこれぐらいは必要と思われる |
容量 | 700Wh | 洗車時間を考えると30分程度は動いてほしい |
AC出力波形 | 正弦波 | モーターなので正弦波が必要 |
・・・AC出力の要求スペックが高すぎて最強クラスのEFDELTAですら動作するか怪しい状態。
16万円出して使えませんでしたは避けたいので別の方法を模索することにします。
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